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【ネタバレ★3】育児話と下ネタが共存する怒涛の経産婦スタンダップ「アリ・ウォンの人妻って大変!」

 

Hard Knock Wife

 ▲この切り取り方すら笑ってしまう

 アリ・ウォンの今年出た新作、すっごく面白かったです。下ネタさえお嫌いじゃなければ、育児に疲れ時にぜひ見てほしい。こういうコメディエンヌ、日本にもいてほしいなあ。

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「アリ・ウォンの人妻って大変!」

作品について(評価/要素/情報)

評価:★★★☆☆(3)

作品要素

政治 宗教 歴史 人種
育児 健康 仕事 人間関係 
移民 下ネタ フェミ 自虐

制作年度:2018年/制作国:アメリカ/上映時間:1時間/英題:「HARD KNOCK WIFE」

あらすじ

www.youtube.com

すい星の如く表れ、毒舌とぶっちゃけぶりで皆の度肝を抜いたあの女が、再び舞台に立つ。その明け透けさは衰え知らず!

前作の感想はこちらをどうぞ。

comedy-san.hatenablog.com

 

ネタバレ感想

産休の母親はウォーキング・デッド

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 2年前に女児を出産し早々にライブに復帰したアリ。スタンダップコメディの舞台では、キメキメのお洒落で臨むスター・コメディエンヌも多い中、彼女は意外な「衣装」で舞台に上がります。

  • 安っぽいアニマルプリント
  • ケバいメタリックの靴
  • 子育て期間中、家の中でしていたヘアスタイル(ちょんまげ頭)

序盤では明かされないので変な格好だなと思って見続けるはめになるんですが、これ「昔は大嫌いだったママ達の服装」なんですよね。この装いでママになった自分のエピソード(母乳はタダ!とか、狂った嗅覚でオムツ交換のタイミングに気付くにはとか)を話してる。

これがお洒落なドレスやOLルックで同じネタをぶちまけてたら、同じ立場である女性(ママ)達からはdisにしか見えなかったはず。装いで彼女達の「同胞」であることを証明できたから、「娘のことを愛しているわ」と言ったあとに「でももうゴミ箱に捨てる寸前よ」が、からかいや皮肉ではなく、アリ本人の実感・自虐である事が伝わるので、あるある!と笑いを得ることができる。

 

ママサークルの女達のことを「つまらない女達」と言った後に「産休の母親はウォーキングデッド。組まないと生き残れない」も熱かったし、自分の授乳と「レヴェナントで熊に食いちぎられるディカプリオ」を重ね合わせるシークエンスでめちゃくちゃ笑いました。 

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親切なフリも暴いて笑いに変える

https://news.newonnetflix.info/wp-content/uploads/2018/05/ali-wong-hard-knock-wife.jpg

アリが散弾銃のように語り散らす赤裸々なセックス事情、男漁りしまくった過去を聞いて、思わず諌めたくなるのは私が保守的な日本人だからというわけではないようで…。結婚してるんでしょ?親は、夫はどう思っているの?子供が生まれたならもう控えたほうがいいんじゃない?と、相当言われているようです。

 

でも、そんな言葉の裏に隠された「いやらしさ」もアリはすっかりお見通し。「本当に聞きたいのは問題集で叩いたり、チェロの練習を強要する抑圧的な親の尻舐めネタへの反応は?」でしょ?と言って会場を見渡します。痛快な突き放しでした。お上品ぶって、あるいは理解者ぶって彼女を心配する「ふり」って、本当はただの「下衆の勘繰り」なんですよね。観客のいやらしさを暴く事で、彼女は客席と自身の距離を上手くコントロールしている。近すぎず、遠すぎず。「かわいそう」はもちろん「理解できない恐ろしさ」も笑いには繋がらない事を理解してのことだと思います。心配も同情もさせない、自分自身を安く見させたりしないけど「今ここでウンチしたって親は涙を流して私を褒める」と過剰な表現を口にすることで、笑ってOKなことなんだと解らせる。ギリギリのコースを攻めていく心地よさを感じるし、スタンダップコメディって笑いにロジックがあるんだなあと思います。

 

また、彼女はヒップホップがお好きなようで、登場もWu-Tang Clanの「Triumph」、看護婦さんには帝王切開を求めるくだりでは、O.T.ジェネシスの「Cut It」なんかも引用しています。なんかわかる気がします。大金を稼ぐ自分に価値を置く話し方、「女がすぐに男と寝るのは自尊心がないからじゃなくて、その男を尊重してないからよ」「男がすぐに女と寝ようとしない時には注意して、あなたを尊重してるのではなくアレが小さいから」に見られるような(!)、二項対立のすり替え、成功を重視するロジックなんかはヒップホップ的だなと感じました。

 

番組はこちらから

www.netflix.com


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